海外移住したいけど親の介護と費用が心配…
貯金ゼロだった私が移住前に、まずやったこと

私の母は41歳で私を出産したので現在80代です。今は東京の高齢者向け住宅で、のんびりと暮らしています。
父は12歳の時に他界し、私は一人っ子です。
だから何かあったら、全部私のところに連絡が来ます。親戚は従姉妹以外疎遠なので、頼れるのは自分だけ。
そんな状況でしたが、遂に40代で長年の夢だった海外移住を決意。

しかし、その決断の裏には、本当に自分は行っていいのだろうか?なんて言おうか?と、とても悩みました。
40代ともなれば、多くの方がまずこの壁にぶつかると思います。

海外移住という夢を追いかけたいけれど、親のことが気がかりで一歩踏み出せないあなたへ、私の当時の葛藤と、どのようにその壁と向き合ってきたのか、どう解決したかをお話したいと思います。

40代、高まる海外移住への想い、夢と現実の間で外せなかった「親の存在」

遠く離れて暮らすことへの罪悪感?40代、海外移住を躊躇する心の叫び

40代に突入し、長年抱き続けてきた海外移住への想いが、日増しに強くなっていた私。
やっぱりもう実現できないかもしれない、と少々弱気でした。

新しい環境で自分の可能性を試したい、異なる文化に触れて人生を豊かにしたい。
失敗するかもしれないけれど、まだやっていないからわからない、などなど。

その気持ちは、無理かも?と思えば思うほど強くなり、毎日葛藤していましたが、最終的に一歩を踏み出しました。

しかし、その期待の裏側で、どうしても拭いきれない不安がありました。それは親の存在です。
特に私の母は80代。父は他界しており一人っ子です。
なので私が移住したら、母は遠く離れた地に一人となるわけです。
もし、あなたのご両親がまだ現役で働いていてお元気だったとしても、年齢を重ねるにつれて、体調の変化や将来のことが心配になるのは自然なこと。

「もし、私が海外に行って、すぐに駆けつけられないような事態が起こったらどうしよう…」
「介護問題はどう解決していこう?お金は足りる?」

特に私は、過去の出来事が原因で、母になかなか言い出せない理由がありました。

海外移住の想いを伝えたことが原因か?母が突然徘徊し始めた日

30代後半の時に母が怒りっぽくなったことがありました。
今思えば、一つのサインだったわけですが、当時は「うるさい!」としか感じず口論となりました。
もうこんな生活や嫌だ!と爆発した私は、「将来日本で暮らすつもりはない!!」と、その時言いました。

それから2週間ほど経った深夜、玄関から数人の人が話しながら入ってくる物音がしました。
びっくりしてそこへ行くと、なんとそこにいたのは数人の救急隊員と母。
私が気付かぬうちにフラフラと外に出て、首都高の高架下で動けなくなっていたのを見つけた人が119番したというではありませんか!
「お母さんは認知症などありますか?」と聞かれたものの、診断されたことはありません。

「最近何かありましたか?」
これには思い当たることがありました。2週間前の口論です。

この後、認知症ではなく、せん妄を発症していたことがわかりました。
移住するまでの約5年間の間に、数回母の様子が時々変化し自分だけで対応が困難に。
それ以来、介護認定を受けて行政と医療に助けてもらうことになったのです。

しかしこの最初のきっかけが自分の発言なのでは?と思っていたので、
「海外に移住する」というのは私の中で母へは禁句となっていました。

このように、海を渡るという大きな希望と決断を前に、親の存在は、まるで大きな壁のように立ちはだかります。
自分の夢を追いかけたい気持ちと、親を想う気持ち。
あなたもその間で揺れ動き、身動きが取れなくなってしまうこともあるかもしれません。私がそうでした。

海外移住への想いと、親の介護という現実 40代が直面する切実な悩み

まずは話し合いから!親の介護に関する希望と現状を把握する

母が最初にせん妄を発症してから2年後、また同じようなことが起こりました。
そして次第に再発の間隔が一年後、半年後と短くなっていきました。

認知症はゆっくりと進行していくため、様子がおかしいなと思ってからハッキリと違うと気づくまでに時間がかかります。それに比べてせん妄は、ある日急に発症するため、家族としては何が起こったのかわからずパニックとなるわけです。

母の場合は、幻覚や被害妄想などがあり、とにかく怒りっぽかったです。
そして、急にアドレナリン全開かのように活発になって、夜中に電話をかけまくったり、洗濯し始めたり、ベランダに出たり入ったり。
時には、深夜3時に別の階のお宅へピンポンを鳴らしていたこともありました。
とにかく落ち着きがなかったので、私は気が休まりませんでした。

そこで治療を開始したものの、薬の副作用で寝たきりのようになってしまい、トイレにも行けないという事態に。

これを何度か繰り返したので、さすがにもう一緒に暮らすのは限界があるような気がしてきました。
そこで別々に暮らすことを考えたわけですが、どこで?という疑問が湧き出ます。

当時住んでいたマンションは、私が20代後半の時に購入し、ずっと住むつもりでした。
売るには少々築年数が経過しており、他にもちょっと特徴のあるマンションだったので買い手がすぐにつくかわかりませんでした。売れても手元にお金が残るかも不明です。
私だけが出て、母はそこに残ればいいとも思いましたが、これまでのことを考えると少々不安が残ります。

では施設に入るのはどうだろうか?と考えましたが、費用面で心配がありました。
そして何より、自分だけの意見で進めるのはよくないと考えたわけです。

母も介護の専門家にお世話になるようになったことで、少し考えが変わってきたようでした。
そのタイミングで、マンションを売却して別々に暮らすのはどうだろうか?と聞いてみました。

いざという時の選択肢を知る!介護施設の種類と特徴【介護施設検索サイトを活用】

ある日、海外移住のことはひとまず置いといて、母に別々の暮らしについて聞いてみたところ、否定的ではありませんでしたが、不安そうな顔をしていました。
自分はどこに連れて行かれるのだろうか?娘に捨てられてしまうのか?そんな思いがあったかもしれません。
また、高齢者向け施設=高額というイメージから、費用はどう工面するか?なども気になっていた様子でした。

一方で、施設や介護に対して否定的ではなかったため、そこは大変助かりました。
実際どんな場所があるのか、入居時・入居後いくらかかるのか、入居の条件など専門の検索サイトで調べ始めました。
私が使った介護施設、高齢者向け住宅検索サイトは次の4つです。

まずは資料請求から始めました。ほとんどの施設が無料で送ってくれます。
複数のサイトに掲載している施設もあるので、重複しないように資料請求しましょう。

高齢者向け施設の種類と特徴

検索するにあたり、エリアや予算だけで絞り込んで探しても、自分の親が入居の対象者でなければ入れないのですから意味がありません。また、入り口をある程度絞り込んで検索しないと、出てくる数が多すぎて選べません。
まずは、施設の種類と特徴を押さえておきましょう。

種類は民間施設と公的施設に分かれる

民間施設

  • 介護付き有料老人ホーム
  • 住宅型有料老人ホーム
  • サービス付き高齢者住宅
  • グループホーム

<公的施設>

  • ケアハウス
  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

民間と公的で一番違うのは費用で、公的施設の方が安価ですが、入居条件も細かく設定されており、待機者も多くいます。
またどちらのタイプも人気の施設は、入りたいタイミングで入れるとは限りません。

各施設の特徴は、みんなの介護に掲載されていたページと動画がわかりやすいのでリンクを貼っておきます。
各施設の特徴はこちら 

海外移住前、貯金ゼロからのスタート!親の介護費用という想定外の壁

海外移住をした買った私にとって、何よりも頭を悩ませたのは費用の捻出でした。
当時の私は貯金ゼロ。親の資産も無し!
これから移住に向けて貯金しようと思っていたので、本当にゼロでした。

住んでいたマンションは売ることに決めたものの、いついくらで売れるかわかりません。
住宅ローンが少し残っていたので、それを返して終わりかもしれません。さて困った!

それでも、途方に暮れている時間はありません。まずは具体的な費用を算出することから始めました。
漠然とした不安を抱えているよりも、数字を一つ一つ洗い出すことで、現実が見えてきて、取るべき対策も少しずつ見えてきます。
海外から経済的なサポートをするためには、日本にいる間に現状をしっかりと把握しておくことが、何よりも重要だと痛感しました。

私と母が当時住んでいたのは、東京23区北部です。
都心でなくとも、23区内の介護費用は全国的に見ても高水準。
できるだけ母には住み慣れた環境で安心して過ごしてほしいという強い思いがありましたが、費用が心配でした。

まずは私一人で様々なタイプの施設を見学し、話を聞きいた結果、ひと月20万円は必要ということがわかりました。
それで足りたら良い方かもしれない・・・

年金があるじゃないかって?いやいや、自営業だったので、年金は頼りにならないのです。
親の資産はなし!はい、残念!そうなると、もう自分の稼ぎしか信用できません。
私が毎月いくら補填する必要があるのか、把握しなければなりませんでした。

そして、いずれにせよ、これはもう日本で普通に働いているだけでは払えない、と強く感じました。

郊外や近隣の県も検討しましたが、80歳を超えた母にとって、慣れない土地への引っ越しは大きな負担になります。
ただでさえ環境が変わるのですから、生活圏内は変えたくないという母の気持ちを尊重しました。

また、私の場合は全て自分で対応する必要があったため、エリアが変わることで手続きが煩雑になるのは、時間的にも精神的にも大きな負担になると予想されました。

そこで、私は当時住んでいた区に絞り、移住後も経済的にサポートできる範囲で、母にとって最適な介護施設を根気強く探すことにしました。

Ms.Malay

費用のことばかり考えていると忘れがちですが、介護は本人の気持ちを尊重することが、一番大事です。

では、具体的にどのような費用がかかってくるのか?
次のステップで説明しますね。


介護費用の内訳を徹底解剖!一体何にいくらかかるのか?【海外移住者のための介護費用ガイド】

私にとって海外移住を考える上で、親の介護費用は金額の大きさだけでなく、その内訳が不透明であったり馴染みのない言葉や項目があったことも不安を増幅させる要因の一つでした。
最初15万円/月で足りるかな?なんて思っていたらとんでもない!
見学に行って話を聞くと、その施設のページに書いてあった月額に最低でも5万円はプラスになることがわかりました。

ここでは、一般的な介護施設に入居する際に発生する主な費用項目を参考に、私の体験談も踏まえながら細かく見ていきたいと思います。

居住費は、介護施設に入居する際の家賃に相当する費用。
個室か多床室か、施設の立地条件、広さ、設備などによって大きく変動します。

1. 居住費

  • 個室:
    プライバシーが保たれるが、多床室に比べて費用は高め。
    特に都市部や新しい施設では高額になる傾向がある。
  • 多床室:
    他の入居者と共同で生活する居室で、費用は比較的抑えられる。
    ただし、プライバシーの確保は難しくなる。

居住費は固定費の基礎項目。海外からの送金計画を立てる上で、最も重要な要素。
長期的な負担を考慮し、無理のない範囲で選ぶ必要があります。
親の年金、貯金、資産なども含めてよく考えることが大事です。

2. 食費

介護施設で提供される食事にかかる費用です。1日3食、栄養バランスの取れた食事が提供されます。
3食全部つけるかどうかは選べる施設、固定の施設があります。
施設のグレードや食材の質によって費用が変動することがあります。
サービス付き高齢者住宅や、シニア専用マンションなど、自炊のできる施設もあるため、その際には、これまでの生活と同じように、食材調達の費用がかかります。

  • 1日あたりの費用:
    施設によって異なりますが、一般的には1,000円-2,000円が目安となります。
    体調不良などで直前または当日キャンセルは実費が発生する場合もあります。
  • 特別な食事:
    病状や嚥下状態に合わせて特別な食事が提供される場合、追加費用が発生することがあります。

食費も毎月固定で発生する費用です。
長期的な支払いを考慮し、施設の食事提供スタイルや内容が親御さんの状態に合っているかも確認しましょう。

3. 管理費

施設の運営や維持に必要な費用で、共用部分の水道光熱費、清掃費、職員の人件費などが含まれます。
施設の規模やサービス内容によって変動します。

費用の幅:
施設によって大きく異なりますが、月額数万円程度が目安となることが多いです。

管理費は、施設のサービスレベルを維持するために必要な費用です。
安すぎる場合は、なぜその価格で提供できるのか理由を明確に知っておくべきと個人的に思います。
サービス内容が十分でない、見えていない請求が発生する可能性も考慮する必要があります。
なんでもそうですが、最低限のサービスを受けるには、それなりの金額は発生するのが普通です。

4. 介護サービス費(自己負担分)

介護保険が適用されるサービスにかかる費用で、利用者の要介護度に応じて自己負担割合(原則1割、所得に応じて2割または3割)が異なります。
制度を利用するにあたり、介護認定が必要になります。
申し込みました!はい明日から使えます!とはなりませんので、介護が必要とわかっているなら早めに認定を受けた方がいいです。
お元気な方でも、要支援という段階があります。この認定を受けているだけでも後々変わってきます。

  • 要介護度別の上限額:
    介護保険から給付される金額には上限があり、それを超えたサービス利用分は自己負担となります。
  • 加算サービス:
    個別のニーズに対応した特別な介護サービス(例:手厚い人員配置、認知症専門ケアなど)には、加算料金が発生する場合があります。

介護サービス費は、親御さんの要介護度によって大きく変動します。
将来的に要介護度が上がる可能性も考慮し、費用の変動幅も把握した上で算出しておきましょう。

5. その他費用(実はこれが意外と見落とがちなのに費用がかさむ)

上記以外にも、以下のような費用が発生する可能性があります。

  • 医療費: 施設内の医療機関や協力医療機関での診察費、薬代など。
  • おむつ代: 介護度が高い場合、おむつ代が別途必要になります。
  • レクリエーション費: 施設で行われるレクリエーションやイベントに参加する場合の費用。
  • 理美容費: 施設内の理美容サービスを利用する場合の費用。
  • 個人的な消耗品費: 衣類、日用品などの購入費用。
  • 入居一時金/初期費用: 一部の有料老人ホームなどで、入居時に支払う費用。
    高額になる場合もありますが、償却期間に応じて返還される場合もあります。

これらの費用は、親御さんの状態や選択するサービスによって大きく変動します。
Web検索だけでは見えないことが多く見落としがちです。
施設見学の際に必ず確認し、予算に含めておく必要があります。
特に、入居一時金は高額になる場合があるため、支払い方法や返還条件などをしっかり確認するのはもちろんのこと、施設の経営状況や破綻した場合などのことも考えて選択するのは重要です。

海外から親御さんの介護費用をサポートするためには、これらの内訳をしっかりと把握し、長期的な支払い計画を立てることが不可欠です。
介護施設検索サイトを活用する際には、これらの費用項目を比較検討し、経済的な負担のバランスが取れた施設を選ぶようにしましょう。

Ms.Malay

毎月の参考支出例(私の母)

対象者:80代女性 要介護1
場所:東京23区(北部)
収入:年金のみ(資産無し、貯蓄無し!)
施設タイプ:民間 サービス付き高齢者住宅(個室)

<固定費>
・賃料:90,000円(非課税)
・管理費:11,980円(非課税)
・生活支援サービス費:50,600(税込)
・自室の光熱費:約10,000円
・施設での食事:約24,000円(夕食のみ利用)
・ベッドレンタル代:1,800円/月
・デイサービス利用料:約7,000円/月(1割負担)
・往診代:約6,000円/月2回
・調剤薬局宅配サービス:約1,700円/月
合計:約203,080円

これ以外に、自炊分の食費、日用品、レクリエーション参加費(無料〜数百円/回)、お小遣いなどで大体3万円くらいがプラスになります(少ない方だと思います)。
母は、おむつは使っていませんが、吸水パッドを利用。
区で申請すると毎月支給されるため助かっています。

海外移住を諦めない!親の介護問題は「見て・聞いて・備える」

実際に見学に行き、見えないお金が結構発生するということがわかりました。
私の場合、毎月最低いくら補填する必要があるか計算したところ、約10万円が必要と判明しました。あら大変!!

でもこれも、見学に行かなければ表面的に出ている金額だけで算出していました。
足りない分をどう工面するか?は、別途考える必要がありますが、
いくら足りないのかわからないことには案も出ませんよね。
だからまずは、現実をしっかり見ることが、事前準備として大事です。

その他に、施設の雰囲気というものは行ってみないと分かりません。
中には、見学に行って直接話を聞いたのに、内訳が不透明な施設もありました。そういう施設は論外です。

なた、建物は綺麗でも、介護スタッフがせかせかしていたり、事務室にいる人の表情がムッとしていて、
あまり良くない施設もありました。

遠方の場合は見学行くのも一苦労で大変かもしれませんが、ここはしっかりとリサーチしましょう!
まずは資料請求から始めて、気になることは電話やメールで事前に聞くのが良いと思います。
その時の対応で「ここは見てみよう」「ここはやめておこう」と、判断できることもあるからです。

あなたにとっても親御さんにとっても、ベストな道が見つかりますように。

マレーシア移住や現地採用に関するご相談も受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

  • オンライン相談 30分 2,200円
  • 追加10分(最大60分まで) 660円
  • オンライン相談 60分 3,980円

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